月の巨大渓谷はわずか10分でできた？グランドキャニオン級を一瞬で【Nature Communications】【LRO】

こんにちは、佐々木亮の宇宙ばなしへようこそ！今日は月にある巨大な渓谷が、なんとわずか10分で形成されたという驚きの研究結果を紹介します。この研究は、ネイチャーの姉妹雑誌「ネイチャーコミュニケーションズ」に掲載されました。月の地形は、今後の人類の月探査において非常に重要な要素です。特に、地球のグランドキャニオンに匹敵するような大きさの渓谷が、どのようにして形成されたのかを理解することは、月の歴史や地質を知る上で欠かせません。

月には、地球のグランドキャニオンに似た巨大な渓谷があります。地球のグランドキャニオンは、全長約450キロメートル、深さ1.6キロメートルに及ぶ壮大な地形ですが、月の渓谷も負けていません。月の渓谷は、長さ270キロメートル、深さ2.7キロメートルと、地球のものよりも深いのです。この渓谷は、シュレディンガー衝突盆地と呼ばれる場所に位置し、外部からの衝突によって形成されたと考えられています。

NASAの月観測衛星LROが取得したデータを基にしたシミュレーションによると、小惑星や彗星が月に衝突した際、その衝撃で月の地殻が削り取られ、わずか10分で巨大な渓谷が形成された可能性があることがわかりました。この衝突によるエネルギーは、地球上の核兵器の保有量の約130倍に相当し、月の地面を液体のように動かし、広範囲にわたって広がったと考えられています。

この研究は、月の地形形成の過程を明らかにするだけでなく、今後の宇宙開発にも大きな影響を与える可能性があります。特に、アルテミス計画での月面着陸地点に近い南極付近の地形を理解することで、月の地下情報を効率的に得ることができるかもしれません。これにより、月の歴史や地質をより深く理解することができるでしょう。

今回の研究は、月の地形形成の謎を解き明かすだけでなく、今後の宇宙探査の可能性を広げるものです。月の地下情報を得るために、深く掘削する必要がないかもしれないという点で、非常に興味深い発見です。これからの月探査がどのように進化していくのか、非常に楽しみですね。

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アイキャッチ画像はNASAのpublic domain galleryから取得しています。